回復力を支えるのは、細胞のエネルギー~栄養不足と脳疲労の新しい見方~
「しっかり食べています。」
体調が優れない方から、このようなお話を伺うことは少なくありません。
しかし私は、「食べているかどうか」だけではなく、「身体がその栄養を使えているか」が健康を考える上でとても大切だと考えています。
栄養不足は単に身体の材料が不足するだけではありません。
細胞がエネルギーを作れなくなることで、脳や神経、自律神経、筋肉、内臓など、身体全体の働きに影響を与えることがあります。
健康は細胞から始まります
私たちの身体は約37兆個の細胞からできています。
脳も神経も筋肉も骨も内臓も、すべて細胞の集まりです。
つまり、健康とは細胞一つひとつが本来の働きを発揮できる状態とも言えます。
細胞が働くためには、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギーが必要です。
ATPは細胞内のミトコンドリアで作られ、
- 神経の情報伝達
- 筋肉を動かす
- 傷を修復する
- 免疫が働く
- ホルモンを作る
- 酵素が働く
など、生命活動のほぼすべてに使われています。
つまり、細胞が十分なエネルギーを作れなければ、身体は本来持っている力を十分に発揮できません。
最もエネルギーを必要とするのが脳
身体の中でも脳は特に多くのエネルギーを消費しています。
呼吸、心拍、自律神経、ホルモンの調節、記憶、集中力、感情など、24時間休むことなく働き続けています。
そのため、細胞のエネルギー不足は最初に脳や神経へ影響しやすく、
- 疲れが取れない
- 頭がぼんやりする
- 集中できない
- やる気が出ない
- イライラしやすい
- 睡眠の質が低下する
- 自律神経が乱れやすい
といった症状として現れることがあります。
私は、こうした状態を「脳疲労」という視点だけでなく、「細胞のエネルギー不足」という視点からも考えています。
糖は悪者ではなく、大切なエネルギー源
近年は糖質を控える健康法を目にすることが増えました。
もちろん、糖を摂り過ぎることには注意が必要です。
一方で、必要以上に糖を制限してしまうことで、脳や細胞が必要とするエネルギーまで不足してしまうことがあります。
脳は通常、ブドウ糖を主要なエネルギー源として利用しています。
そのため、身体に必要な質の良い糖質を適切に摂ることは、細胞がATPを作るためにも大切です。
人工甘味料で甘さだけを補うのではなく、身体が利用できる栄養を適切に摂ることが重要だと考えています。
栄養は「摂ること」より「使えること」が大切
栄養は食べるだけでは身体の力になりません。
食べたものは、
・消化される
・腸で吸収される
・血液によって運ばれる
・細胞へ取り込まれる
・ミトコンドリアでATPへ変換される
という流れを経て、初めて身体のエネルギーになります。
さらに、この過程ではビタミンB群や鉄、マグネシウムなど、多くの栄養素が必要です。
つまり、「食べている」と「使えている」は同じではありません。
生きるために栄養を優先的に使う
私たちの身体は、生きるためにとても合理的にできています。
栄養が不足すると、まず脳や心臓、呼吸など生命維持に必要な働きが優先されます。
そのため、生命に直接関わらない部分は後回しになりやすくなります。
例えば、
- 髪
- 肌
- 爪
- 筋肉
- 関節や軟骨
- 粘膜
- ホルモン
- 酵素
などは、十分な栄養とエネルギーがあって初めて作られ、修復されています。
その結果、
「肌荒れが続く」
「髪にツヤがなくなった」
「筋肉が落ちやすい」
「傷が治りにくい」
「疲れが抜けない」
このような変化も、身体が発しているサインかもしれません。
身体は「回復の循環」で成り立つ
健康は、一つの臓器だけで決まるものではありません。
細胞、脳、神経、自律神経、呼吸、消化、吸収、血液やリンパなどの循環は、お互いにつながりながら働いています。
例えば、
栄養を摂る
↓
消化・吸収される
↓
細胞でATPが作られる
↓
脳や神経が元気に働く
↓
自律神経が整う
↓
血液やリンパ、脳脊髄液などの循環が良くなる
↓
酸素や栄養が細胞へ届く
↓
さらにATPが作られる
↓
細胞が修復される
↓
身体が元気になる
このように、身体は良い循環(良いループ)の中で回復していきます。
反対に、
栄養不足
↓
ATP不足
↓
脳疲労
↓
自律神経の乱れ
↓
循環の低下
↓
酸素や栄養が届きにくい
↓
さらにATP不足
↓
回復しにくくなる
という悪循環に陥ることもあります。
私は、この「回復の循環」を取り戻すことが、本来の健康につながると考えています。
当院が大切にしていること
体調が優れない方の中には、
「食事には気を付けている」「サプリメントを摂っている」
それなのに改善しないという方も少なくありません。
そのような時には栄養を増やすことだけではなく、
- 消化・吸収はできているか
- 栄養が細胞まで届いているか
- 細胞がエネルギーを作れているか
- 脳や自律神経が本来の働きをしているか
- 身体全体の循環が保たれているか
という身体全体のつながりを考えることが大切だと考えています。
当院では、症状だけを見るのではなく、細胞が栄養を使いやすくなり、本来の回復力を発揮できる身体づくりを目指しています。
健康とは「回復できる身体」であること
健康とは、単に症状がないことではありません。
細胞が十分なエネルギーを作り、その細胞が集まった脳や神経、筋肉、内臓が本来の役割を果たせること。
そして、それぞれが支え合う「回復の循環」が保たれていること。
その状態こそが本当の健康だと考えています。
「なかなか治らない」
「疲れが取れない」
「検査では異常がないのに調子が悪い」
そのような不調の背景には、細胞レベルでのエネルギー不足や栄養不足、そして回復の循環が滞っていることが関係しているかもしれません。
身体には、本来、自らを修復し回復する力があります。
その力を十分に発揮できるよう、当院は細胞・脳・神経・循環という全体のつながりを大切にしながら、健康づくりをサポートしています。

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