
ストレスとホルモンの関係から考える不調
「ホルモンバランスが崩れている」と言われると、
「女性ホルモンが足りないのかな?」
「男性ホルモンが減っているのかな?」
と考える方も多いかもしれません。
しかし、ホルモンはそれぞれが独立して働いているわけではありません。
身体の中では、さまざまなホルモンが関連し合いながら作られ、脳や自律神経などとも連携して身体の状態を調整しています。
その仕組みを考えるうえで、一つの入り口になるのが「プレグネノロン」という物質です。
プレグネノロンはホルモンの出発点
プレグネノロンは、体内でコレステロールから作られるステロイドホルモンの前駆体です。
そこから身体の中では、さまざまな酵素の働きを通して、
- プロゲステロン
- コルチゾール
- DHEA
- テストステロン
- エストロゲン
などにつながる経路が存在します。
もちろん、実際のホルモン産生は単純な一本の道ではありません。
どの組織で作られるのか、どの酵素が働くのか、身体がどのような状態にあるのかなどによって、複雑に調整されています。
つまり、
「このホルモンが足りないから、これを補えばいい」
というほど単純な仕組みではないのです。
テストステロンも関係
ホルモンの話になると、女性ではエストロゲンやプロゲステロン、男性ではテストステロンというように考えがちです。
しかし、女性の身体でもテストステロンは作られています。
反対に、男性の身体でもエストロゲンは存在しています。
これらのホルモンは、性別によって完全に分けられているものではありません。
そのため、
「女性だから女性ホルモンだけ」
「男性だから男性ホルモンだけ」
という見方では、身体全体の仕組みを十分に捉えられないことがあります。
大切なのは、個々のホルモンの数値だけを見るのではなく、ホルモン同士の関係や、それらを調整している身体全体の状態を見ることです。
ストレスがホルモンに影響?
身体は、強いストレスや慢性的な負荷を受けると、その状況に適応するためにさまざまな調整を行います。
その中心のひとつが、脳と副腎などが関係するストレス応答です。
短期間であれば、身体を守るために必要な反応でもあります。
しかし、睡眠不足、精神的なストレス、慢性的な痛み、栄養状態、炎症、生活リズムの乱れなどが重なり、身体が長期間「休めない状態」になると、ホルモンを含めた身体の調整機能にも影響する可能性があります。
ここで大切なのは、
「ストレスがあるから、このホルモンが必ず減る」
と単純に考えないことです。
身体は、脳・自律神経・内分泌系などが連携しながら、その時々の状況に合わせて調整しています。
「プレグネノロン・スティール」という考え方
プレグネノロンについて調べると、
「プレグネノロン・スティール」
という言葉を目にすることがあります。
これは、ストレス時にはプレグネノロンがコルチゾール産生に優先的に使われ、その結果、性ホルモンが不足するという考え方です。
ただし、これは現在の医学で確立された単純な仕組みではありません。
実際のステロイドホルモン産生は、組織や酵素などによって複雑に調整されているため、
「ストレスでプレグネノロンを奪われ、性ホルモンが作れなくなる」のは適切ではありません。
一方で、この考え方が示している、
「ストレスへの対応と、生殖・性ホルモンなどの身体機能は無関係ではない」
という視点は、身体を全体として考えるうえで興味深いものです。
何が足りないかだけでいいのか?
ホルモンの不調というと、
「エストロゲンが少ない」
「プロゲステロンが少ない」
「テストステロンが少ない」
というように、足りないものを探したくなります。
身体の状態は、それだけではありません。
ホルモンが作られること。
ホルモンが運ばれること。
受け取る側が反応できること。
そして、それらを調整する脳や自律神経が適切に働くこと。
こうした仕組みが連携して、はじめて身体全体の調整が行われます。
「何が足りないのか」だけではなく、
「なぜ身体の調整がうまく働かなくなっているのか」
という視点も大切だと考えています。
当院では「身体全体のバランス」を考える
当院でプレグネノロンやエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどのホルモンそのものを治療するわけではありません。
ホルモンの数値を操作することを目的としているわけでもありません。
私が大切にしているのは、
身体全体が本来持っている調整・回復の働きが発揮しやすい状態になっているか
ということです。
例えば、
- 頭が休まらない
- 常に身体が緊張している
- 寝ても疲れが取れない
- 朝から身体が重い
- ストレスがかかると体調を崩しやすい
- 月経前後などに心身の変化を感じる
- 更年期以降、以前とは身体の感覚が変わってきた
- 男性ホルモンの低下が気になっている
- 検査では大きな異常がないのに、調子が戻らない
このような場合、ホルモンだけを切り離して考えるのではなく、
脳、自律神経、睡眠、内臓、栄養、身体の緊張などを含めて、身体全体の状態を見ていくこと
が大切だと考えています。
当院では、頭蓋や神経系へのソフトな施術を中心に、身体が過剰な防御状態から抜け、本来の調整・回復機能を発揮しやすい環境を整えることを大切にしています。
また、身体を部分的に見るのではなく、全身の状態やバランスを確認しながら、その方に必要な調整を行っています。
これは「ホルモンを整える施術」という意味ではありません。
身体全体のバランスを見ながら、身体自身が調整しやすい環境を整えていく。
それが、当院が大切にしている考え方です。
ホルモンだけを変えず、身体全体を見る
プレグネノロンを知ると、ホルモンが単独で存在しているわけではなく、さまざまなホルモンや脳、自律神経などが複雑に関係していることが見えてきます。
そして、ホルモンの問題を考えるときにも、
「何が足りないのか?」
だけではなく、
「身体が本来の調整機能を発揮できる状態なのか?」
という視点があります。
もし、睡眠を取っているのに回復できない、身体の緊張が抜けない、ストレスに弱くなった気がするなど、身体全体の変化を感じているのであれば、一つのホルモンだけに原因を求めるのではなく、身体全体から見直してみることも一つの方法です。
当院では、症状だけを追いかけるのではなく、脳・自律神経・身体全体のバランスと回復する力という視点から、その方の身体を考えています。

077-532-7417