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筋膜とは?筋膜リリースだけでは見えない身体のつながり

筋膜とは?筋膜リリースだけでは見えない身体のつながり

「筋膜リリース」という言葉を、よく耳にするようになりました。

筋膜ローラーや筋膜ストレッチ、筋膜リリースなど、筋膜に働きかける方法もさまざまです。

では、そもそも筋膜とは何なのでしょうか?

そして、筋膜が硬くなったとき、本当に「硬くなった筋膜を緩める」だけでよいのでしょうか?

当院では、筋膜を単に「ほぐす対象」としてではなく、身体全体の状態が現れる場所の一つとして考えています。

ここでは、一般的な筋膜の考え方と筋膜リリースについて説明しながら、当院が筋膜をどのように捉えているのかをお伝えします。

筋膜とは何か?

「筋膜」と聞くと、筋肉を包んでいる薄い膜をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、筋膜は一種類ではありません。

筋肉そのものを包む固有筋膜、筋群や身体の区画を包みながら全身に連続している深筋膜など、身体のさまざまな場所に筋膜があります。

さらに、筋膜は筋肉だけに存在するものではありません。

身体の組織を取り囲み、支え、組織同士をつなぐ結合組織として、さまざまな部位で連続しています。

そのため、「筋膜=筋肉を包む膜」とだけ考えると、筋膜が持っている広い役割を十分に捉えられません。

筋膜はつながっている

深筋膜などは、筋肉や筋群を区切るだけではなく、身体のさまざまな組織と連続しています。

私たちが身体を動かすとき、筋肉だけが単独で動いているわけではありません。

筋肉、筋膜、その周囲の組織が互いに動きながら、全身が連動しています。

このとき重要になるのが、組織同士の滑走性です。

組織同士がスムーズに動ければ、身体も動かしやすくなります。

一方で、

  • 同じ姿勢が長く続く
  • 同じ動作を繰り返す
  • ケガや炎症がある
  • 身体の緊張が長く続く
  • 疲労が蓄積する

など、さまざまな要因によって組織の動きが悪くなることがあります。

その結果として、筋肉や筋膜の張り、重さ、動かしにくさなどを感じることがあります。

ここで大切なのは、筋膜の状態が悪くなったから身体に問題が起きた、と必ずしも言えるわけではないということです。

むしろ、身体の状態が変化した結果として、筋膜の緊張や滑走性の低下が現れている場合もあります。

筋膜は身体の状態を感じ取る

筋膜は単なる「包む膜」ではありません。

筋膜やその周囲には感覚神経が存在しており、圧力や伸張など、身体の状態に関わるさまざまな情報を受け取っています。

そのため筋膜への刺激は、単純に組織を物理的に動かすだけではなく、神経系への感覚入力としても考えることができます。

これは、筋膜リリースによって身体が変化する理由を考えるうえでも重要な視点です。

筋膜リリースは何をしているのか?

一般的な筋膜リリースでは、筋膜やその周囲の組織に圧を加えたり、伸ばしたり、動かしたりすることで、組織の動きやすさを取り戻すことを目的とします。

筋膜リリースによって、痛みや身体の動かしやすさが改善することもあります。

ただし、

「硬くなった筋膜を強く押して剥がす」

というように単純に考える必要はありません。

筋膜リリースによる変化には、組織そのものへの作用だけでなく、筋膜に存在する感覚神経への刺激や、神経系を介した筋緊張・痛みの感じ方の変化など、さまざまな要素が関係している可能性があります。

そのため当院では、筋膜リリースを「硬い筋膜を物理的に剥がして柔らかくする」という一つの考え方だけでは捉えていません。

筋膜だけの問題なのか?

ここが、当院が筋膜を考えるときに大切にしている部分です。

例えば肩の筋膜が硬くなっているとします。

そのとき、

「肩の筋膜が硬いから、肩の筋膜を緩めよう」

と考えることはできます。

しかし、

なぜ肩の筋膜が硬くなったのでしょうか?

という視点も必要です。

もちろん、筋肉の使い過ぎや姿勢、繰り返しの動作などが関係していることもあります。

しかし、それだけでは説明できないケースもあります。

当院では、

  • 神経系の緊張
  • 内臓からの反射性の影響
  • 炎症や体調不良
  • 睡眠不足や疲労
  • 栄養状態
  • 呼吸
  • 自律神経の状態

なども含めて考えます。

つまり、筋膜の硬さを「原因」と決めつけず、身体全体の状態の結果として現れている可能性も考えるということです。

内臓から影響することある

身体には、内臓からの情報が神経を介して、筋肉など身体の表面側に影響する仕組みがあります。

これを臨床では、内臓体性反射などの視点から考えることがあります。

例えば、内臓の状態が変化したときに、その関連領域の筋肉が緊張したり、痛みや違和感が現れたりすることがあります。

当院では、このような反射性の影響によって筋肉や筋膜の緊張が持続し、結果として組織の動きや滑走性にも影響している可能性を考えています。

そのため、

「硬い筋膜がある」

「そこを緩める」

だけではなく、

「なぜ、その場所が硬くなっているのか?」

というところまで考えることがあります。

風邪や炎症が影響する

筋膜の状態は、局所だけで決まるものでもありません。

例えば風邪などの感染症や炎症を伴う体調不良の後に、

「身体が重い」
「筋肉が張る」
「いつもより肩や腰がつらい」

と感じることがあります。

炎症が起こっているときには、身体全体の代謝や神経系、痛みの感じ方、筋肉の緊張などにも変化が起こります。

そのため当院では、局所の筋膜だけを見るのではなく、そのとき身体全体がどのような状態にあるのかも考えるようにしています。

脳の「安心・安全」と緊張

もう一つ大切なのが、脳と神経系の状態です。

身体は常に、外からの刺激や身体内部の情報を受け取りながら、

「今は安心できる状態なのか」
「身を守る必要があるのか」

を判断しています。

強いストレスや疲労が続いていたり、身体が休まりにくい状態が続いていたりすると、神経系が過度に警戒した状態から抜けにくくなることがあります。

そのような状態では、全身の筋肉にも緊張が残りやすくなります。

当然、筋肉と密接に関係している筋膜にも、その影響は及ぶと考えられます。

当院では、こうした脳・神経系が「安心・安全」と感じられているかという視点も大切にしています。

この考え方については、こちらの記事で詳しく説明しています。

「神経の安全状態から考える身体の回復」

強く押せば、筋膜はより変化するのか?

ここも筋膜リリースを考えるうえで大切なところです。

「硬いところだから、強く押した方がよく緩む」

と思われることがあります。

しかし、身体には防御反応があります。

強い刺激を受けたとき、身体がそれを「さらに守らなければいけない刺激」と受け取れば、筋肉が反射的に緊張することもあります。

そのため、

強い刺激=大きな変化

とは限りません。

当院では、筋膜に対しても、できるだけ身体が受け入れられる力を使うことを大切にしています。

当院が大切にしている「協調的な力」

当院の施術では、術者が身体を一方的に変えようとするのではなく、

身体の動きや反応を感じながら、組織が動きやすい方向へ力を合わせていく

ことを大切にしています。

強く押して無理に動かすのではありません。

身体がその刺激を受け入れられる範囲で働きかける。

そして、身体自身が持っている調整する力を邪魔しない。

これは単に「優しい施術をする」という意味ではありません。

身体が防御的にならず、変化を受け入れやすい条件を整える

という考え方です。

筋膜が緊張している背景を見る

筋膜リリースによって、その場で身体が動きやすくなったり、張りが軽くなったりすることはあります。

それは大切な変化です。

しかし、すぐにまた同じ場所が硬くなるのであれば、

「筋膜がまた硬くなった」

だけで終わらせるのではなく、

なぜ、そこに繰り返し緊張が起こるのか?

を考える必要があります。

筋肉の使い方なのか。

神経系の緊張なのか。

内臓からの反射なのか。

炎症や疲労など全身状態の影響なのか。

睡眠や栄養など、身体が回復するための条件が整っていないのか。

当院では、こうした可能性を一つずつ考えていきます。

当院では全体を考える

筋膜は、身体の中で独立して存在しているものではありません。

筋肉、神経、血管、内臓など、さまざまな組織と関わりながら身体を支えています。

だからこそ当院では、

「筋膜が硬いから筋膜を緩める」

だけではなく、

「なぜ筋膜がその状態になっているのか」

を大切にしています。

筋膜へのアプローチを行うこともあります。

しかし、それだけにこだわるのではなく、

脳・神経、自律神経、筋肉、筋膜、内臓、炎症、疲労、栄養など、身体全体の状態を見ながら、その方に必要なアプローチを考える。

それが当院の筋膜に対する考え方です。

筋膜を無理に変えようとするのではなく、

身体が本来の動きを取り戻しやすい環境を整える。

その結果として、筋膜や筋肉も動きやすい状態へ変化していく。

当院では、そのような視点を大切にしています。

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