なぜ痛みが繰り返すのか?
「肩を揉んでもらうと、その時は楽になる」
「腰の痛いところを押すと気持ちいい」
「自分でほぐしているけれど、しばらくするとまた同じ場所が痛くなる」
このような経験はありませんか?
痛みのある場所を調べていると、「トリガーポイント」という言葉を目にすることがあります。
トリガーポイントとは、筋肉の中にある、特に痛みを感じやすい場所のことです。
押すと強く痛みを感じたり、押した場所とは離れたところに痛みを感じる「関連痛」が起こることもあります。
では、トリガーポイントを見つけたら、そこをしっかりほぐせばよいのでしょうか?
もちろん、トリガーポイントを刺激することで、痛みや筋肉の張りが楽になることはあります。
しかし、何度も同じ場所にトリガーポイントができるのであれば、
「なぜ、そこにトリガーポイントができたのか?」
まで考えてみることが大切です。
トリガーポイントとは?
トリガーポイントは、筋肉の中にできる、痛みを感じやすいポイントです。
例えば、
- 首の一部分を押すと強く痛む
- 肩の特定の場所だけが硬く感じる
- 腰のある場所を押すと痛みが広がる
- お尻を押すと脚のほうまで痛みを感じる
といったことがあります。
特徴の一つは、痛みを感じている場所と、実際に刺激している場所が一致しない場合があることです。
そのため、
「痛い場所=痛みの原因」
とは限りません。
トリガーポイントは、痛みを考えるうえで一つの手がかりになりますが、それだけで痛みの原因をすべて説明できるわけではありません。
なぜトリガーポイントができるのか?
トリガーポイントができる背景には、さまざまな要因が考えられます。
一つは、筋肉に負担がかかり続けることです。
例えば、
同じ姿勢を長時間続ける
↓
特定の筋肉に負担が集中する
↓
筋肉の緊張が続く
↓
筋肉や周囲の組織の状態が変化する
↓
痛みを感じやすくなる
ということがあります。
しかし、筋肉への負担は「筋肉を使いすぎた」ということだけではありません。
身体の使い方の偏り
いつも同じ側で荷物を持つ、同じ姿勢で仕事をする、特定の動作を繰り返すなど、身体の使い方に偏りがあると、特定の筋肉に負担が集中することがあります。
痛みをかばう動き
腰や膝などに痛みがあると、無意識に身体の使い方が変わります。
その結果、本来とは違う筋肉に負担が集中し、別の場所に張りや痛みが出てくることもあります。
疲労や睡眠不足
身体の回復が十分でない状態では、普段なら問題にならない程度の負担でも、筋肉の張りや痛みとして感じやすくなることがあります。
神経系の緊張
筋肉は、単独で働いているわけではありません。
脳や神経系からの指令を受けながら、身体の状態に合わせて緊張したり緩んだりしています。
そのため、筋肉の状態を考えるときにも、その筋肉をコントロールしている脳や神経系の状態を見ることが大切です。
筋膜や組織の「滑走性」も関係します
トリガーポイントを考えるとき、筋肉そのものだけでなく、筋膜やその周囲の組織にも目を向ける必要があります。
身体を動かすとき、筋膜や周囲の組織は互いに滑るように動いています。
この組織同士の滑走性が低下すると、身体の動きがスムーズでなくなり、特定の場所に負担が集中しやすくなることがあります。
「筋膜リリース」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
筋膜や周囲の組織にアプローチすることで、組織の動きやすさや身体の感覚が変化し、楽になることがあります。
ただ、ここでも大切なのは、
「筋膜が硬いから、そこを緩めれば終わり」
と考えないことです。
筋膜やその周囲の組織には、血液だけでなく間質液などの体液も存在しています。
当院では、組織の状態を見るときにも、単純に「硬い・柔らかい」だけではなく、
組織がスムーズに動けているか、そして組織の中や周囲で体液が滞りなく流れているか
という視点を大切にしています。
内臓の状態が筋肉に影響することも
筋肉の緊張は、筋肉そのものの問題だけで起こるとは限りません。
内臓の状態が、自律神経などを介して関連する筋肉の緊張や痛みの感じ方に影響することがあります。
こうした身体の内側から筋肉に影響する関係の一つに、内臓体壁反射という考え方があります。
そのため、同じ場所に繰り返しトリガーポイントができる場合には、筋肉だけでなく、身体全体の状態を見ることも大切です。
内臓と筋肉の関係については、こちらでも詳しく解説しています。
トリガーポイントをほぐすと、なぜ楽になるの?
「痛いところを押したら楽になった」
これは決して不思議なことではありません。
刺激によって筋肉の緊張が変化したり、痛みの感じ方が一時的に変化したりすることで、症状が軽くなることがあります。
そのため、トリガーポイントを刺激すること自体が悪いわけではありません。
マッサージやセルフケアなどで、
「そこをほぐすと気持ちいい」
というのも、身体に変化が起きている一つの反応と考えられます。
ただし、ここで考えてほしいことがあります。
「楽になる」と「解決する」は同じではない
例えば、肩にトリガーポイントがあるとします。
そこをほぐすと、
肩が楽になる
↓
しばらく快適に過ごせる
↓
数日すると、また同じ場所が凝ってくる
↓
またほぐす
このようなことがあります。
なぜでしょうか?
それは、
「痛みのある場所を緩めること」と「その場所に負担がかかり続ける理由を変えること」は、別だからです。
もちろん、ほぐすことでそのまま改善していくケースもあります。
しかし、何度も同じ場所にトリガーポイントができるのであれば、
「なぜ、そこに負担が集中し続けているのだろう?」
と考えてみる必要があります。
痛い場所だけを見ても原因は分からない
例えば右肩にトリガーポイントがあるからといって、
「右肩の筋肉が悪い」
とは限りません。
その背景には、
- 身体の使い方
- 姿勢や動作の癖
- 痛みをかばう動き
- 筋膜や組織の滑走性
- 組織の体液の流れ
- 睡眠や疲労
- ストレス
- 神経系の緊張
- 内臓を含めた身体全体の状態
など、さまざまな要素が関係している可能性があります。
また、痛みは筋肉や組織の状態だけで決まるものではありません。
脳や神経系は、身体から送られてくる情報を受け取り、それをもとに痛みをどの程度感じるかにも関わっています。
そのため、
「筋肉にトリガーポイントがある」
=「筋肉だけが問題である」
とは限りません。
だからこそ、
「痛い筋肉を見つけて緩める」だけではなく、その痛みが生まれている背景を見ることが大切
なのです。
トリガーポイントは身体を知る手がかり
当院でも、筋肉の硬さや圧痛、トリガーポイントを確認することがあります。
ただし、
「ここにトリガーポイントがあるから、ここをほぐせばいい」
とは考えていません。
当院が大切にしているのは、
「なぜ、この場所に負担が集まっているのか?」
という視点です。
筋肉だけを見るのではなく、筋膜や周囲の組織、身体の使い方、神経系、自律神経など、身体全体の状態を確認しながら考えていきます。
特に当院では、脳や神経系が身体をどのように調整しているのかという視点を大切にしています。
身体は、それぞれの部分が独立して働いているわけではありません。
筋肉、関節、内臓、神経などが互いに影響しながら、一つの身体として働いています。
そのため、痛みのある場所だけを一生懸命ほぐすのではなく、
「なぜ、そこに問題が起きているのか」
を考えることが、繰り返す症状を考えるうえで重要だと考えています。
トリガーポイントは「ほぐす場所」ではない
トリガーポイントがあると、
「ここを何とかしなければ」
と思ってしまいます。
もちろん、痛みのある場所を緩めることで楽になることはあります。
しかし、何度も同じ場所に痛みが出るのであれば、その場所だけを悪者にするのではなく、
「身体がなぜ、そこに負担をかけているのか」
を考えてみてください。
当院では、トリガーポイントを単なる「ほぐすべき場所」ではなく、身体の状態を考えるための一つの手がかりとして捉えています。
「揉んでもすぐに戻ってしまう」
「いつも同じ場所が痛くなる」
「痛い場所をほぐしても、根本的に変わった感じがしない」
そんな方は、痛い場所だけではなく、身体全体の状態を一度見直してみてはいかがでしょうか。
トリガーポイントへの当院のアプローチ
トリガーポイントによる痛みでお悩みの場合、痛い場所をほぐして楽になることもあります。
それでも、
「何度ほぐしても同じ場所が痛くなる」
「その時は楽になるけれど、また戻ってしまう」
という状態が続いているのであれば、痛みのある場所だけに原因を求めないことも大切です。
当院では、トリガーポイントを単に「硬くなった筋肉」として捉えるのではなく、
「なぜ、その場所に負担が集中しているのか?」
というところから身体を見ていきます。
筋肉だけではなく、筋膜や周囲の組織の滑走性、組織の体液の流れ、身体の使い方、内臓、自律神経、そして脳や神経系など、さまざまな要素が関係していないかを考えます。
特に当院では、脳や神経系が身体をどのように調整しているのかという視点を大切にしています。
そのため、
「痛いところを見つけて、そこをほぐす」
だけではなく、
「なぜ、そこに痛みが出ているのか」
を身体全体から考えることを大切にしています。
トリガーポイントを繰り返している方、マッサージやセルフケアをしてもすぐに戻ってしまう方は、痛みのある場所だけではなく、その背景にある身体の状態にも目を向けてみませんか?
それが、トリガーポイントを「ただほぐす場所」から、身体の状態を知るための手がかりとして考える、当院のアプローチです。

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