体をコントロールしている脳、その脳細胞は絶えず「有毒な老廃物」のようなものを生み出しています。この老廃物を放置しておくと脳に影響して、思考や行動や気分に影響が出てしまいます。それを避けるために脳内では定期的に洗浄作用もある、脳内の脈絡叢(みゃくらくそう)で作られる脳脊髄液(のうせきずいえき)により脳内の掃除が行われています。そして望ましくないゴミを洗い流して解毒作用のある肝臓へと送りこまれます。
人間とマウスの脳は似ているそうですが、マウス実験によると眠り始めると脳細胞は縮み、細胞同士の間の隙間が60%増加。そのおかげで脳脊髄液は脳細胞間を素早く通り抜け、毒素を洗い流す事が出来ます。つまり昼に溜まった脳の毒素が、睡眠中に取り除かれる事がわかりました。睡眠が不足するとこれらの毒素が脳内に残り、疲労感や気分障害も起きやすいという事です。
絵の水色が脳脊髄液です。脳の老廃物処理のためには、この脳脊髄液の循環が大切ですが、多くの方の頭の中は右図のように脳脊髄液の流れが悪い状態で頭が浮腫んでいます。これはお越しの際に体験してもらっている事です。脳内の視交叉上核が、松果体からメラトニンというホルモンを出させて眠気を引き起こすのですが、脳の状態が良くないので、それら睡眠中枢がうまく働かず体は疲れているのに「寝つけない」「すぐに目が覚める」など睡眠障害を訴える方が当院にお越しの方にも増えています。
自覚できない睡眠不足もあるそうで、そのような睡眠不足が続くと、気がつかないまま脳が数秒間居眠りをするマイクロスリープという現象が起こる事もあるそうです。1日6時間睡眠だと2週間後には1日徹夜をしたぐらいの認知機能まで低下し、これはほろ酔い状態と同じレベルだそうです。
また2015年、今まで無いとされていた脳内にリンパ管が見つかりました。これは脳と免疫をつなぐもので、アルツハイマー病など脳の病気にも大きく関係するとされ、脳内の循環や当院が行っている施術法にも注目が集まりそうです。
痛い・辛い症状、慢性疲労など、なかなか取れない慢性疾患をはじめ気分障害や鬱も全て脳が関係します。頭のむくみを取り除き、脳脊髄液の循環がいい状態で寝やすい体の状態を作り、質のいい睡眠を取って脳の老廃物を取り除き、脳と自律神経をいい状態にする。これは思った以上に重要な事です。寝る前のホームケア体操の重要性も増しますね。
通年で室温は18℃、湿度は65%ぐらいが寝やすく、体質にもよりますが8時間ぐらいの睡眠時間が理想です。ぜひ質の良い睡眠と時間と環境を確保して、日頃から疲れにくい元気な脳と体を目指しましょう!!